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ある日の出来事。

 

【登場人物】

♀:ソシィア(ナレーションも兼ねる):15歳の1国の次期当主。明るく天真爛漫。脱走癖がある。
 

♂:シャディルト:24歳の宮庁の長。任務達成率100%、ちょっと胡散臭いキャラ。ラシュネが苦手。
 

♀:ラシュネ:22歳の宮庁の副長。怒りっぽい。初対面の人からは男性と思われることもある。子供好き。
 

♂:レンファース:24歳の宮庁第一隊隊長。真面目で几帳面。長の右腕。童顔で年相応にみられない。
 

♂:サドレカ:26歳の宮庁第四隊隊長。右目に眼帯をしている元盗賊。訓練の時は厳しすぎると評判。

 

 

 

   ※宮庁=ぐうちょう、長=おさ、と読んでください。


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【役表】

ソシア(ナレーション):♀:

シャディルト:♂:

ラシュネ:♀:

レンファース:♂:

サドレカ:♂:


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ナレーション「ここはジフィール。魔術大国と呼ばれる国の中央都。
       そして、この国での特殊な任務を遂行する機関がある。
       その者たちのことを宮庁と呼び、彼らが暮らす場がここ。宮庁舎」


シャディルト「な、何ですってー!?」

 

レンファース「ですから、ソシィア様が『また』脱走をいたしましたと...」


シャディルト「はう」(倒れる)


レンファース「ああ、長っ!?」


シャディルト「いたた、で、当主は彼女の連れ戻しを命じたと、こういうことですね?」


レンファース「は、はい...長、大きな側方強打跡がありますが...」


シャディルト「問題ありません。ですが...これは皆には言わないでくださいね」


レンファース「え、ええ...とりあえず、どういたしますか?」


シャディルト「いくら『また』とはいえ、国の次期当主が姿をくらませたのです。
       大規模な捜索はできません。ラシュネさんとサドレカさんを呼んでもらえますか?」


レンファース「わかりました」


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シャディルト「ということで、あなた方へソシィア様捜索任務遂行の助力を願います」


レンファース・ラシュネ・サドレカ「了解」


シャディルト「作戦はいたって単純です。ソシィア様の逃走源より円状の感知網をサドレカさんが張り、ラシュネさんで増幅。
       発見した場所へレンファースさんがテレポートで向かい、確保。確保困難と判断した際には魔術弾で
       位置を示してください」


ラシュネ「本当に単純だな。それで大丈夫なのか?」


レンファース「それでも事件の可能性も払拭できないと当主はお考えのようです。慎重に」


サドレカ「それに、あの次期当主だからな。そう簡単に確保できるとも思えん」


シャディルト「そうですね。以前、確保困難と認められた案件の数も計り知れません。
       まずは逃走源まで参りましょうか」


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レンファース「えっと、ソシィア様の逃走源ですが...自室の窓から行ったようです」


ラシュネ「今回もやるなぁ。容赦なく高いぞ?」


サドレカ「ちょっと待て。どう見てもあそこは5階に見えて仕方がないのだが?冗談だろう、冗談だと言え」


レンファース「それが、事実なんです」


シャディルト「人間、知らないほうが良いこともあるものですね」


サドレカ「俺、頭痛くなってきた」


ラシュネ「サドレカが倒れる前にやってしまおうじゃないか」


サドレカ「誰が倒れるだ。まあ、いい。網を張ればいいんだな?察する網アーレン・ヴェスティ」


ラシュネ「増幅」


シャディルト「お見事です。どうです?わかりましたか?」


サドレカ「いや、それなんだが...取り越し苦労、だな」


ソシィア「きゃっ。...ったいー。」


ラシュネ「あ、ソシィア。降ってくるとはまた新しい登場の仕方だな」


ソシィア「えへへ。でも次はもっとすごい方法を見つけてみようかな。って、あれ?皆揃ってどうしたの?」


シャディルト「ど、どうしましたかとはこちらのセリフで...」


ソシィア「?はい」


シャディルト「す?」


ソシィア「木苺だよ」


レンファース「それは見てわかりますが、それがどうかなさったのですか?」


ソシィア「うん、明日が母様の命日だからね。母様が好きなケーキを作るんだよ」


サドレカ「で、その材料を取りに行っていた、と」


ソシィア「うん!ね、いっぱいでしょ?」


ラシュネ「おお、これなら大きなケーキができるだろうな」


サドレカ「俺、頭痛くなってきた。帰る」


シャディルト「私も頭がくらくらしてきました」


レンファース「まさか長、先ほどの側方強打の際に!」


ラシュネ「側方強打?どういうことだ?」


レンファース「あ。何でもありません」


シャディルト「知らないほうがいいこともたくさんあります。さて、ソシィア様は大人しく城内へお戻りください」


ソシィア「うん、早速作ってくるよ」


ラシュネ「ま、これで一件落着、か?」

 

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ラシュネ「まさか、皆の分までとは思わなかったな。うむ、美味い」


サドレカ「無駄な苦労料としてはいささか不服ではあるが、美味くはあるな」


ラシュネ「ん?シャディルト、食わんのならば私が食ってやろうか?」


シャディルト「結構です!」

 


レンファース「長、大変です!ソシィア様が『また』...」

 

 


とぅーびーこんてぃにゅーど?

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そんな人いないとは思うけれど、一応著作権らしきものは放棄しておりません。


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