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幻の都編
 まだ幻の都の噂さえ広まっていないころの、ルビータの街ができる前の、昔々の幻の都の噂になる元のお話。
 偶然、ルタージュが幻の都に迷い込んで、古の娘巫女・フューリアに出会う。

 

アデル:男:18歳(ガンギマリ肉味噌マンさん)
 ルタージュとは双子。こちらが兄。騎士を目指してラトゥンテル学校に通う。朴訥な性格で、融通が利かない。

 誰にも剣の腕は負けたくないと、懸命に日夜訓練している。
 弟の要領のよさを羨ましく思うことがあり、家督は弟が継いで自分が補佐に回ろうと思っているらしい。


ルタージュ:男:18歳(樹シルフさん)
 アデルとは双子でこちらは弟。家督のことは兄に任せて割と奔放に生きている。詩人。感受性が豊かで非常に穏やか。

 ただ、それを隠そうとしておどけてみせることがある。
 どことなく捉えどころがない性格をしているが、真実を見抜く力はずば抜けている。運動はややも苦手。


リイフィ:女:19歳(志星さん)
 近くの街にある宿屋の娘。勝気でいつか自分も冒険に出てみたいとひっそりと願っている。勢い余ってルタージュと

 喧嘩することもあるが、どちらかというと独り相撲。
 料理の腕は超一流。誰であろうとその腕を認めるほど。幻の都でルタージュが食べたというこの世ならざる美味な果実

 というものを見てみたいと思っている。


ツェン:男:18歳(こたつさん)
 アデルの良き学友。というより、双子とは腐れ縁。双子の凸凹ぶりに呆れたり、楽しみを見出したりしている。

 同い年なのに、どことなく大人びて皆のまとめ役でもある。
 剣の腕はアデルよりやや上。学内恐らくはトップと言われている。

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【ファイル名】

アデル:ad    ルタージュ:ju   リイフィ:li   ツェン:tw


「キャラクター名-セリフ番号」となるようにして提出してください。ex:ルタージュセリフ番号01は「ju-01」です。

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ルタージュ 01「な、何なんだよ、ここは!...まさか天国に来ちゃったとか?」


      02「私は確かにディカン山脈の、そうだ、ふもとでシロナリの花を探していた。なのに青い空、青い海、白い砂浜。

       どう見てもこのあたりにはない風景、だよな?」


      03「帰る道もよくわかんなくなっちゃってるし。一体ここはどこなんだーーーー!!って。うわあああ!?

       ...女の子???」


      04「な、何かな?果実??それを私にくれるのかな?言ってくれなきゃわからないんだけど?」

ルタージュM 05「女の子は、私が手を差し伸べるとそれをそっと掴み...」

フューリア 01「私は、喋れません。これをあなたに」

ルタージュ 06「な、頭の中に声!?...そうか、君は喋ることができなかったのか。果実、ありがとう。

       いつもこうやって人と話をしているのかな?」

フューリア 02「はい。これ、おいしいから食べてほしくて。大丈夫です。毒など入っていません」

ルタージュM 07「女の子は同じ果実を取り出し、シャリ、とかじってみせた。今食べて、感想を求めるようにじっと見つめられて」

ルタージュ 08「あっはっは、わかったわかった。そこまでされちゃ、食べないわけにもいかないもんな。いただくよ」


      09「ん、、シャリシャリしていてみずみずしくて。何だこれ、食べたことがないけどすごく美味しいじゃないか!

       これは何ていう果物なん、だ...い...」

フューリア 03「おやすみなさい、いい夢を」

 


(間)


ルタージュ 10「で、意識が途切れて気が付いたら、ディカン山脈のふもとに倒れてたってわけ」

アデル 01「お前、それを何というか知っているか?白昼夢っていうらしいぞ?」

ルタージュ 11「いや、違う違う!あれは夢なんてありえない。足にまだ砂浜のサクサクした感覚が残ってるんだ」

リイフィ 01「それより、あたし、その果物っていうのに興味がある!そんなにおいしかったの?」

ルタージュ 12「美味しいなんてもんじゃないさ。シャリシャリしているのにとろけるようで、みずみずしさは

       どんなもぎたての果実にも劣らない」

アデル 02「わかったわかった、わかってやるから、貴重なツェンとの試合の邪魔をしないでくれるか?」

ツェン 01「なんだ、僕に負ける理由をリイフィとルタージュのせいにしたいのかな?」

アデル 03「違う!作戦を考えていたところにリイフィとルタージュが邪魔をするからだ!」

ルタージュ 13「左様ですかー。ま、その作戦とやらで是非ともツェンから勝ちをもぎ取ってみるといいよ」

リイフィ 02「いっつも負けてるくせにね」

アデル 04「今日の俺は一味違うということをだな...!」

ツェン 02「せいやっ!!」(掛け声)

アデル 05「ちょ、それはないだろ!」

ツェン 03「隙を見せるから。もしここが敵地の中だったらどうするつもりかな?作戦とか言っても相手は待ってはくれない」

アデル 06「そ、それは...」

リイフィ 03「ホント、戦とかだったらアデル、あんたもうこの世にいない人になっちゃってる」

ルタージュ 14「とはいっても、平和なんだけどね」

アデル 07「お前の頭の中はな」

ツェン 04「どっちもどっち」

ルタージュ 15「何だって!?」

アデル 08「何だと!?」

ツェン 05「で、どうする?」

アデル 09「あんな試合は無効だ!もう一度俺と戦え!」

ツェン 06「いや、そうじゃなくて。本当だって証明したいとルタージュの顔に思いっきり書いてあるから」

ルタージュ 16「そりゃ、まあね。私はあの景色を今一度見てみたい。詩として後世に残しておきたいものが、あれにはある!」

リイフィ 04「あたしもその果実ってやつを一度見て、食べてみたい」

アデル 10「そんな夢物語をリイフィは信じてるんだ?」

リイフィ 05「夢物語かどうかは行ってみればわかることじゃないか」

ツェン 07「まあ、ディカン山脈のふもとにはそういう場所はないと言われているけどね」

ルタージュ 17「場所は憶えてる。明日の朝から1人でも、もう一度目指してみようと思っているんだ」

アデル 11「言いだしたらルタージュ、お前行動しなきゃ気が済まないんだよなぁ」

ツェン 08「そこはアデルも同じだよ」

リイフィ 06「双子って変なところで似るものなんだね」

ルタージュ 18「違う」

アデル 12「うるさい」

ツェン 09「明日は学校も休みだし、僕も付き合ってみようかな」

リイフィ 07「当然あたしも行く」

アデル 13「リイフィのお弁当が来るのか?」

リイフィ 08「ああ、いいね。腕によりをかけて作ろうかな」

アデル 14「じゃあ、俺も行こう。勘違いするなよ、お前らだけじゃ心配だからついて行ってやるんだからな?」

ツェン 10「ふふ、わかったよ。皆で行こう。明日の朝、リイフィの宿で」

 


(間)


ツェン 11「おはよう。リイフィ、荷物は僕が持とう」

ルタージュ 19「おはようさん。ツェンはいつも紳士だなぁ」

リイフィ 09「本当。どっかの誰かさんみたいに食べるのが目的みたいなのに比べたら!」

アデル 15「ん?どうして皆して俺を見るんだ?」

ルタージュ 20「あ、自覚なし?」

アデル 16「何のことだ。どうでもいいけど、案内はルタージュに任せるぞ」

ルタージュ 21「それはいいけど。兄さん、ずいぶんと荷物多いね」

ツェン 12「登山でもするんじゃないかな?」

リイフィ 10「ディカン山脈のふもと、だよね。あたしたちが行くの」

ツェン 13「で、間違いないはずだけど」

リイフィ 11「重くなったって言っても手伝えないよ?」

アデル 17「いいんだよ。必要な気がするから持ってきたんだ。用意は多いに越したことはないだろう?」

ルタージュ 22「まあ、兄さんがそれでいいって言うならそれでいいけど」

ツェン 14「それじゃ行こうか」

ルタージュ 23「そうだね、こっちだよ」


(間)

 


アデル 18「随分と奥まったところを目指すんだな」

ルタージュ 24「まあね。本当はシロナリの花を見つけに行こうと思っていたんだ」

リイフィ 12「ああ、傷に効く薬ね」

ルタージュ 25「うん。兄さん、生傷が絶えないでしょ。だから切らしちゃってたんだ」

ツェン 15「それはすぐなくなっちゃいそうだ」

アデル 19「い、いらない世話だ!」

ツェン 16「そうではなくてはアデルらしくないともいうけどね」

ルタージュ 26「あはは、言えてる。っと、このあたりに洞穴の入口があって...」

リイフィ 13「洞穴?」

アデル 20「そんなものがあるという話も聞いたことがないぞ」

ツェン 17「確かに。これまでの地図にも記載されてなかったことだね」

リイフィ 14「じゃあルタージュが言っていることが本当なら世紀の発見じゃない」

アデル 21「本当なら、な」

ルタージュ 27「本当さ。そして、私は記憶力がいい。これがその洞穴」

(洞穴を見つける)

リイフィ 15「...何これ!!」

ツェン 18「本当にあったんだね」

アデル 22「そこそこの規模があるな」

ツェン 19「これが今まで発見されなかっただなんて...」

リイフィ 16「夢、じゃないよね」

アデル 23「4人一緒に見る白昼夢か?ありえない」

ルタージュ 28「そう、この先に私は進んだんだ。この洞穴を抜けた先に、例の場所が広がっていた」

リイフィ 17「白い砂浜に青い海、ね」

ルタージュ 29「そう。道はそう長くないし、1本道で迷うこともないさ」

ツェン 20「行って、みよう」

アデル 24(ガサゴソ)「洞穴というからランタンも持ってきておいたんだ」

リイフィ 18「ふふ、何だかんだでルタージュのこと信じているんじゃん」

アデル 25「そりゃ、兄弟だからな。考えていることは大体わかる」

ツェン 21「あはは、なるほどね。僕らは用意のいいアデルにあやかろうじゃないか」

ルタージュ 30「ありがとう、兄さん」

アデル 26「勘違いするなよ。信じてはいるが、これを用意したのは俺の身の安全のためだ」

リイフィ 19「とかなんとか言っちゃって」

ツェン 22「はいはい、リイフィ。先に行こう。これからが楽しみなんだから」

リイフィ 20「そうだね。美味しい果物、待ってろよー!」

ルタージュ 31「最初に下っていく。足元は少し滑るから気をつけて」

アデル 27「気をつけるのはルタージュの方だ。お前昔からすぐ転んで泣いてたからな」

ルタージュ 32「それは昔の話だよ。今はだいじょうb...っととと!!」(転ぼうとする)

ツェン 23「言わんことじゃない」

リイフィ 21「それで昔よく泣いてたよね」

ルタージュ 33「だから、それは昔の話だって」

アデル 28「今も変わりなさそうだけどな!」

ツェン 24「ふふ、それより、ここは変わった雰囲気を持った場所だね」

リイフィ 22「言えてる。風が奥から吹いてくるし、足元が濡れているのも地上から流れてきた水じゃないよね」

ツェン 25「きっと、この洞穴の中で湧いた水なんだろうけれど」

アデル 29「それでも、下りなのに奥から水が流れ出てきているというのがおかしい」

ツェン 26「だね。ここから先に湖があったりするのかな?」

ルタージュ 34「いや、なかったよ。そしてもうすぐで上りになる」

リイフィ 23「ホントに1本道なんだね」

アデル 30「それなのに今まで何の発見もなかった場所...。一体どうなってんだ」

ツェン 27「それに見てごらん。このあたりに生えているのはティカプだ。陽の光がないと自生しない草だよ」

ルタージュ 35「耳も澄ませてみるといいよ。奥から吹いてくる風に揺られて実同士がぶつかることで音楽が鳴ってるから」

ツェン 28「実の内部が空洞だから、ぶつかり合うことで楽器みたいな役目を果たしているんだね」

ルタージュ 36「うん。これだけでも後世に伝えておきたい光景だよ」

アデル 31「いや、これだけでも意味が分からない洞穴だぞ」

リイフィ 24「もう何が何だか...」

ルタージュ 37「驚くのはまだこれからさ」

ツェン 29「坂道を駆け上がる水、陽光の届かないところで実をつけるティカプ、上りになってから風が逆方向からに

     変わっているのにも気づいているかな?」

アデル 32「上りになっても水は駆け上がるのか」

リイフィ 25「何だかここだけ世界が違うところみたい」

ルタージュ 38「上りはさほどない...って、あれ?」

アデル 33「どうした?」

ルタージュ 39「あの子...」

ツェン 30「ルタージュが言っていた女の子?」

(フューリア走り去る)

ルタージュ 40「あ!待って!!」

リイフィ 26「追いかけましょう!」

(追いかけようとする)

ツェン 31「ルタージュ、足元!」

ルタージュ 41「うわっ!!待ってくれ、私たちはあの景色をもう一度見たいだけなんだ!」

リイフィ 27「ルタージュ、大丈夫?」

アデル 34「速い!チビなのに、なんて速さだ」

リイフィ 28「見えなく、なっちゃった」

ツェン 32「ところで。あそこは、出口かな?」

アデル 35「ルタージュの言っていた世界、いよいよだな」

リイフィ 29「果物、果物!」

ツェン 33「あはは、それもある」

ルタージュ 43「あの子にも謝らなきゃいけないね、驚かせちゃっただろうし」

アデル 36「そこで食べるリイフィの弁当、格別だと信じてるぜ」

リイフィ 30「当たり前でしょ。味は誰でも太鼓判を押してくれるんだよ」

ツェン 34「いざ、だね。行こう」

 


(間)

 

ルタージュ 44「あ...れ...?」

リイフィ 31「ここって...」

アデル 37「ディカン山脈のふもと。さっきの洞穴の入口じゃないか」

ルタージュ 45「そんな...。私たちはここから入って1本道で...」

ツェン 35「迷うこともなかったのに」

アデル 38「幻、だったのか?」

 

 

ルタージュM 46「それから何度か私たちは、その洞穴へと挑戦した。しかし結果は同じ。入口へと戻ってきてしまう」


       47「アデル兄さんの学校からも調査団が出たりして、謎を解明しようとしたらしいが、いずれも失敗に終わっている」


       48「幻の都。私の辿り着いた場所はそう呼ばれるようになり、どれくらいの月日が経ったであろうか」


ルタージュM 49「ディカン山脈のふもと、洞穴の入口のある場所へルビータという街ができ、冒険者でにぎわうことになった」


       50「そう、私が一度辿り着いた幻の都を目指して」

               おわり?

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