top of page

はじまりの夢 第五

【出演キャラ】
ナレーション
ソシア
ステル
ナディ
スィーザ
シャディルト
ラシュネ
ジィスト
ブィファードル

 

ナレーション01「ここは惑星モラ、第一層ラム・テラーゼ。昔英雄が救ったとされる世界」
      02「英雄が去って時がたち。世の災いが騎士の国バンデと聖都レオドを落としたという」
      03「その力に抗うものとされる、光とそれを受ける水の守護を偉神は定め、人々の希望をつなぎとめた」
      04「これはその者たちが描く物語。はじまりの夢 第五話『奇跡』」


ステル 01「ふう、こんなものでしょう」

ナディ 01「大丈夫?」

スィーザ 01「...ていうか、どうもない」

ステル 02「シャディルトさんに教わったのに少しアレンジを加えてみたんです」
    03「しばらくこの魔術で受ける影響は人並みになっていますから」

スィーザ 02「よしっ」

ナディ 02「よし、って何?」

スィーザ 03「俺たちもジフィール中央都に行くんだよ」

ステル 04「待ちなさい、あなた今治ったばかりでしょう。無茶です!」

スィーザ 04「うるせえなぁ。俺はあいつに何かぶちかまさなきゃ気が済まねえんだよ」
     05「ま、別にお前らが来なくても俺一人ででも行く」

ナディ 03「どうしてそこまで?」

スィーザ 06「変な話かもしれないけどな、バンデは...俺たちの国はあの炎で全てを失った」
     07「今更どうなることでもないんだが...ケジメつけたいんだよ」

ステル 05「そう、でしたね」

スィーザ 08「悪かったな、俺の個人的な事情にお前らを巻き込むところだった」
     09「終わったら、またここへ戻ってくる」
     10「隔たりの神、ランエット。我はルグス。盟約により我をかの地へ」

SE(ワープしてください)

ナディ 04「行っちゃった、の?」
    05「いけないわ、ステル、私たちも後を追いましょ...」

ステル 06「ふ...あはは、追いませんよ?」
    07「そうそう、ナディさん。僕はあなたにひとつ言いたかったんですよ」

ナディ 06「ステル?」

ステル 08「僕に近寄らないでください。困るんですよね、色々と」

ナディ 07「どうし...たの?」

ステル 09「わかりやすく言いましょうか?僕は今からあなたを殺します」
    10「運命を見極め、その鎖を断ち切るために、死んでください」

ナディ 08「う、嘘でしょ...?冗談はやめて」

ステル 11「冗談ではこんなこと言えませんよ...本気です!全てを切り裂く風よ!」

SE(強い風の音)

ナディ 09「うっ!」
    10「くぅ...ステル、あなた守護じゃ、ないの?」

ステル 12「いいえ、この通り月のアザもあります」
    13「ただ、守護という存在を完全には肯定していないだけです。それに...」

ナディ 11「守護は!4人でなければ...輝きを持つ者3人と、それを受ける者とで成り立つの!」
    12「つまり、4人でなければ意味をなさないのよ!だから!!」

ステル 14「あなたは...何も知らない」
    15「もうあなたと話すのも飽きました。さよならしましょう」

ナディ 13「だめ、私にはやることがある!」
    14「主神、ランエット!!」

ステル 16「やはり...そうでしたか。天使」

ナディ 15「この人、怖い。逃げて二人にこのことを言わないと...!」

(ナディ飛び去り、ステルの背後から草を踏みしだく足音)

ステル 17「誰だ!」

ジィスト 01「何故、逃がした?」

ステル 18「あなたでしたか、驚かさないでください」

ジィスト 02「しかし、あいつが天使だとよくわかったな」

ステル 19「初めて出会ったときに展開されてたのは炎の神による魔術を完全に防ぐ、しかも森ひとつを覆うほど巨大な結界で、それを一瞬で張ったんです」
    20「主神を隔たりの神ランエットに持つ天使か、ランエット本人でなければ無理なんですよ。だからすぐにわかりました」

ジィスト 03「そうか」

ステル 21「それよりも、何故あなたがここへ?」

ジィスト 04「守護らの足止めをするはずだったのだが、少しばかり遅かったか」

ステル 22「あなたが、ですか?やめてくださいよ。そんなこと、僕は筋書きを立てていなかったでしょう?」
    23「まあ、足止めだけが理由でもなさそうですけれども」

(間)

ステル 23「ウルヌアの花、ですか?」
    24「人間界のごく一部にのみ生息する多年草。春に純白の花をつけ、その花を干して潰せば草食動物にとっては特効薬となる。だが、それはもう絶滅種」

    25「何故そうもこの花を求めるのです?」

(間)

ステル 26「黙して語らず、ですか」
    27「まあ、それも一つの答えですね」

ジィスト 05「約束」

ステル 28「はい?」

ジィスト 06「約束をしている...大切なものと」

ステル 29「そう、ですか」
    30「さて、と。お話はこれくらいにして、僕らも出向きましょうか」

ジィスト 07「計画通り、ジフィール中央都へ」


(場面転換、ジフィール中央都王宮内)


スィーザ 11「これが人並みの黒い炎で受ける影響かーーーー!?目がかすむぜ??」
     12「ステルめ、だましたな!」

シャディルト 01「こんなとこ来て立ってるあなたのほうが不思議ですっ!!」

スィーザ 13「褒めるなよ、照れるじゃないか」

シャディルト 02「褒めてません!」
       03「ともあれ、ここへスィーザ君が来たとなると...行くしかありませんね」

ラシュネ 01「今度は理由くらい言っていけ、バカ者が!」

SE(叩く音)

シャディルト 04「って、痛いですよ...。理由は、今守護を失うわけにはいかないからです。間に合えば戻ります」

SE(ワープ音)

スィーザ 14「シャディ、どういうことだ!」
ラシュネ 02「ま、待て!シャディルト!!」(2人同時)

スィーザ 15「はあ、仕方ねえな。ラシュネには頼みがある」

ラシュネ 03「何だ、こんな時に!」

スィーザ 16「ラシュネ、落ち着け。もうジフィールは確実に落ちる。だから皆を連れて逃げるんだ」

ラシュネ 04「しかし!」

スィーザ 17「もうどうにもならないさ。あれだけの騎士を擁しておきながらバンデは一人の男に滅ぼされた。手も足も出せずにな」
     18「過去は繰り返したくない。頼む」

(少し間を取ってください)

ラシュネ 05「わかった...。生存者を確認後、皆を連れ脱出...する」

スィーザ 19「悪いな、任せる」

SE(扉を開く音)

スィーザ 20「しかし、負ける気がしないっつーか、変な気分だな」

SE(石が転げるようなカタンという音)

スィーザ 21「そこかっ」

ソシア 01「そ、んな...スィーザ?」
    02「何で、何できちゃうんだよ!!」

ブィファードル 01「フレアラム・ロヴェス!」(炎の攻撃魔法)

ソシア 03「フィディーク・フォルテ!」(水の防御魔法)

SE(ものが一瞬で蒸発するような音)

ソシア 04「ひゃっ」

ブィファードル 02「戦いの最中によそ見とは、ずいぶんと余裕なことで気に入らないな」
        03「新手もろとも...なっ!?」
        04「これか!ルーファの言っていた力は!」

スィーザ 22「立っていられないだろう?そいつは重力っつーんだよ。さぁて、死ぬか?」
     23「生憎と手加減はなしだ」

ソシア 05「やめて!」

スィーザ 24「お前、そんなこと言って防戦一方じゃお前のほうがやられるんだぜ?」
     25「だからせめて一息に!」

ソシア 06「だめ、だめだよ。やめて!こんなのおかしいよ」

スィーザ 26「ばか、何しやがる!」

ソシア 07「私たち守護って何?人間って何?『脅威』って消すべきもの?何かの犠牲を払いながら?」
    08「私は嫌だよ。そんなの...認めたくないよ!!」

スィーザ 27「バカか、お前は!やらなきゃやられる、そんな簡単なことが」

ソシア 09「わかんないよ!!」

スィーザ 28「おまっ、こいつは敵なんだろう!?」

ソシア 10「そうだよ、知ってるよ!」

スィーザ 29「なら手ぇ離せよ!」

ソシア 11「やだ!」

スィーザ 30「だからやられるって言ってるだろうが!」

ソシア 12「だからって殺しちゃうの?」

スィーザ 31「ったりめーだろ」

ソシア 13「そんなのヤダ!」

スィーザ 32「やだって...駄々っ子じゃねえんだぞ!」

ブィファードル 05「何だこいつらは...まあ、いいや」
        06「そこまでで茶番は終わりだ」

スィーザ 33「ち、隔たりの神、ランエッ!」

ブィファードル 07「なんてな、...やめた」
        08「お前ら、守護っていう自覚あんのか?」

(考えているようです)

ソシア 14「えへへ、ないかも!」

ブィファードル 09「変な奴だな。なら教えておいてやるよ」
        10「俺らを束ねる奴は『永遠』の持ち主だ。倒せたら、奇跡...だな」

スィーザ 34「ちょっと待て、『永遠』って、聞いたことがあるぞ」

ソシア 15「消えることのない命で、他者はおろか自らをもってしても断つことができないそれ、だね」

ブィファードル 11「と、言われてはいるな。だから奇跡だと言っている」

ソシア 16「大丈夫、その奇跡、私たちが起こしてみせるよ」

ブィファードル 12「面白い、奇跡、起こせたら見逃してやるよ。ダメだったら全力で潰す」
        13「奇跡、起こしてみせな」

→第六話へ​

ここで公開しているボイスドラマは、オリジナルのものです。勝手な転記や転載はおやめください。

 

このサイトはWIX様の素材を用いて作成されています。

bottom of page